「EtsyからGPSRに関する通知が来たけれど、内容が難しくてよくわからない…」
「個人で活動しているのに、世界中に自宅の住所が公開されるなんて怖い!」
2024年12月から完全施行されたEUの「GPSR(一般製品安全規則)」。これにより、EU圏(欧州経済領域)へ商品を販売する全てのEtsyセラーは、ショップ上に「製造者情報(氏名・住所・連絡先)」と「EU責任者情報」を表示することが義務付けられました。
これまではニックネームやショップ名だけで運営できていた個人作家さんにとって、プライバシーの壁が一段と高くなったと言えます。
この記事では、Etsyで海外販売を続ける日本人作家さんが、どのようにして自分の身を守るべきか、あるいは安全にEU販売を停止(除外)するにはどうすればよいかを、具体的かつ分かりやすく解説します。
なぜ住所と氏名が公開されるのか?GPSRの基礎知識
そもそも、なぜ急に住所や氏名を公開しなければならなくなったのでしょうか。その背景には、EU消費者の安全を守るための厳しいルールがあります。
EUが求める「製造者情報」と「EU責任者」とは
GPSR(General Product Safety Regulation)は、EU市場で流通する製品の安全性を確保するための規則です。万が一、販売した商品で事故やトラブルが起きた際、消費者がすぐに連絡を取れる窓口を明確にすることが求められています。
日本から販売する作家さんの場合、以下の情報の開示と設置が必須となりました。
- 氏名(本名)
- 物理的な住所(私書箱不可)
- 連絡先(メールアドレスなど)
EU圏内に所在し、当局との連絡窓口となる「法人」または「個人」の情報(氏名・住所・連絡先)
日本に住んでいる作家さんがEUへ販売を続ける場合、自分自身が責任者になることはできません。 必ずEU域内に住む代理人、あるいはコンプライアンス代行業者などを「責任者」として指名し、その情報をEtsyに登録する必要があります。
個人セラーも対象!逃れられない「開示義務」のルール
「私は企業ではなく個人の副業だから関係ない」と思いたいところですが、GPSRに例外はありません。商品をEU圏の居住者が閲覧・購入できる状態にしている限り、たとえ年に数個しか売れない個人セラーであっても、この義務が課せられます。
Etsyのシステム上、これらの情報を入力すると、EU圏のユーザーに対してのみ、あなたのショップ詳細ページに住所や氏名が表示される仕組みになっています。
ダウンロード商品(デジタルアイテム)も対象
「うちはPDFの型紙やイラストデータの販売だから、郵送もしないし関係ないはず」と思っている方は要注意です。GPSRは有形の商品だけでなく、デジタル商品にも適用されます。
ソフトウェア、電子書籍、デジタルアート、編み図なども、EU圏の消費者に提供される「製品」とみなされるため、上記の情報開示が必要です。デジタル商品のみを扱っているショップであっても、EU圏への販売を継続する場合は住所・氏名の登録・表示が必須となります。
「日本語の住所ならバレないのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、Google翻訳などの精度が上がっている現代、住所の一部から自宅が特定されるリスクは否定できません。個人情報の取り扱いには、これまで以上に慎重な判断が必要です。
自宅住所を公開したくない場合の2つの選択肢
自宅の住所をどうしても公開したくない場合、日本人作家が取れる具体的な対策は大きく分けて2つあります。
「外部サービス」を活用して販売を継続する
住所公開を避けつつEU市場を維持したい場合の「攻め」の対策です。
バーチャルオフィスの利用
自身の住所として、物理的な所在が確認できるバーチャルオフィスの住所を登録します(私書箱は不可)。
EU責任者代行サービスの契約
EU内に拠点を持つ専門業者と契約し、彼らの情報を「責任者」として登録します。
EU圏への販売を「除外」する
「コストをかけてまでEUに売りたくない」「プライバシーを100%守りたい」という場合の、最も確実な「守り」の対策です。
配送設定からEU(欧州連合)圏を除外することで、GPSRの適用範囲外となり、情報を登録・開示する必要がなくなります。
EU販売を継続する場合の注意点
それでも継続して販売したい!という方に向けて注意点を2つ紹介します。
| 本名の開示が必須 | 連絡先の専用化 |
|---|---|
| ショップ名(屋号)だけでなく、 法的名称(姓名)の記載が求められます。 | 公開されるメールアドレスは、ショップ専用のもの(Gmailのショップ用アカウントなど)を用意し、プライベートと分けましょう。 |
EU(EEA)圏への販売を除外する具体的な手順
配送プロフィールから特定の国を外す(有形商品)
- Etsyショップ管理ツールの「設定」→「配送設定」を開く。
- 使用している「配送プロフィール」の編集画面へ。
- 配送先に「欧州(European Union / EEA)」が含まれている場合、そのチェックを外す、もしくは個別に国を削除します。
設定画面から一括でオフにする(デジタル・有形共通)
- 「設定」→「オプション」を選択。
- 「GPSR適用国への販売方法を選択」セクションを探す。
- 有形商品、デジタル商品それぞれについて「販売しない」を選択して保存します。
まとめ:安全に楽しく海外販売を続けるために
GPSRへの対応は、個人作家さんにとって大きな負担です。「住所の公開」だけでなく「EU責任者の確保」というコストも発生するため、慎重な判断が必要です。
- EUの売上が大きく、経費を払っても利益が出る: バーチャルオフィス+代行サービスの検討
- 売上がわずかで、プライバシーを最優先したい: EU圏の販売除外
どちらの道を選んでも、正解・不正解はありません。まずはご自身のショップ状況を把握し、一歩ずつ設定を見直してみましょう!
本記事の内容は執筆時点の情報を元にした一般的な解説であり、法的・税務的な助言を構成するものではありません。具体的な法的義務や輸出規制については、専門家や関係機関へご相談ください。

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